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 「節分集会」のその日、朝から子どもたちはゆり組もさくら組もちゅうりっぷ組もホールの北側の窓から箱根山の頂上を興味津々で見ています。鬼さんが現れるのを待っているのです。今年はあいにくおばさんが一人、その頂上で幼稚園の方に向かって体操をしていて、鬼さんはなかなか現れてくれませんでした。

 でも、おばさんがいなくなって、ついに青いマントの鬼さんが棍棒をもって現れました。「出たーっ!」「いたよ、ほら、あそこだ、いたーっ!」と、子どもたちは窓から離れて、一目散に散らばります。半分は怖くて、もう半分はみんなに鬼が本当にいたのを知らせるためです。 ここ数年、鬼は箱根山から幼稚園にやってくることになっています。

 子どもたちは鬼がやってくると、新聞紙を丸めてセロテープで巻いた「豆」を鬼に向かって「鬼はー外っ!」と言いながら投げます。豆はたくさん作っているのですが、足りなくなると、また拾って投げます。

 戸山幼稚園では、節分に鬼さんがくるのは、子どもたちの中にいるいろんな悪い「虫」を追い出してもらうためです。鬼さんがみんなの悪い虫を退治してくれるのです。

 でも、みんなにとって鬼さんは怖い存在です。ですから、鬼が幼稚園のホールにやってくると、捕まりたくないので逃げ回ります。泣き顔の子どもたちもいます。勇気を奮い起して、豆を投げつけている子どもたちもいます。特にゆり組さんは「前のゆりさんたちは僕たちを守ってくれたから、今度は僕たちがちゅうりっぷさんやさくらさんを守ってあげよう」という気持ちで頑張ります。とにかく、逃げまどいながら、大騒ぎです。