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 戸山幼稚園が大切にしている日本の伝統行事。今年もこどもの日に向けて『こいのぼり作り』をしました。年少(ちゅうりっぷ)さんは、入園早々でも楽しく出来るようにタンポを使って模様付け。年中(さくら)さんは、様々な道具を扱って思い思いの鱗模様を表現します。

 そんな中、年長(ゆり)さんだけは、個人製作では無く友だちと力を合わせて大きなこいのぼり作りに挑戦します!「これまでよりもかっこいいこいのぼりがつくりたい!」という子どもたちの思いと、「友だちと互いに思いを伝え合い、力を合わせる難しさと喜びを知ってほしい」という保育者の願いを込めた大事な活動です。もちろん、進級してすぐの子どもたちにとっては簡単な活動ではなく…自分の思いをしっかり伝えられる子も、それが強すぎてしまう子も、はたまた途中で集中が切れてしまう子も居る、まだまだアンバランスな面もたくさん見られます。それでも、作りたいこいのぼりのイメージを確認し合いながら、完成を見通して年長なりに力を発揮しようと頑張ってきました。苦難があるからこそ、完成が嬉しく、達成感と満足感を大いに味わえます★

 完成のためには、もう一つ、ゆりさんが楽しみにしていたことが…。それは、過去のゆりさんがしてくれたように、大きなこいのぼりで小さい子を遊ばせてあげたいという、年長ならではの目標があったのです。とはいえ、まずは自分たちが完成を喜び、乗ってみたり、くぐってみたり、飛ばしてみたり、存分にその喜びを味わいました!その、思いのままに体感しようとする姿と、遊びを通して扱い方を習得する時間が、この後の”こいのぼりらんど”にとても役立つのです。

 ずっとずっと、ゆりさんの製作過程を興味津々で見ていた年中少の子どもたちは、いざゆりさんが「あそんでいいよ」と言ってくれると大喜び!貰ったチケットを大切そうに持って自然とホールに集まります。ゆりさんたちは自分たちでそれぞれの役割を探し、集団の一員として張り切っています。3種類のこいのぼりそれぞれに面白さがあり、それらを互いに認め合っている…自分たちが作りたいと決めて、小さい子のために動いてきたからこそ、どの瞬間もそれぞれの充実感へと繋がっていくのでしょう。

 ホールの片隅でずっとアナウンスを担当していた女の子。「みなさん、どうぞたのしんでください」「なんかいでもあそべます」誰が決めたわけでもないけれど、その場に応じて言葉を選んでいました。そして、楽しんでいるみんなを見て一言。「みんなが、えがおになれますよーに!」…なんて素敵なのでしょう。思わず涙がこぼれました。彼女は入園当初、口を閉ざしてなかなかお話してくれなかった子なのです。満足感を味わった中で、心が動く瞬間、子どもたちはとっても優しくなります。頭が動く瞬間、子どもたちはとっても頼もしくなります。そこに、大人の手はほとんど必要が無くなります。全て子どもたちが感じ、考えて、この空間を自分たちのものとして展開出来てしまうのです。これが、戸山幼稚園の年長さんが積み上げてきた力です。そこに集まってくる小さな子たちもまた、この空気を肌で感じて学んでいるでしょう。

 ゆりさん、楽しいこいのぼりランドを作ってくれてありがとう♡